シックハウス対策について思うこと

シックハウスという言葉は私が学生の頃、アルバイトをしていた設計事務所で初めて聞きました。もう20年以上前の話です。その事務所の所員さんがシックハウス対策の講習会か何かを受けてきたと上司の方に報告していました。「アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド」という単語を頻繁に使っていましたが、上司の方は「なんだかようわからんわ」と言っていたのをよく覚えています。説明をされた所員さんが大阪弁のため上司の方には「汗とアルデヒド」と聞こえるようでした。

その後、岩村アトリエで、シックハウス対策に関わる調査業務に関わることができ、学生時代に聞いたあの「ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド」が化学物質であることを知りました。この化学物質とシックハウスは密接に関係しています。ですが私は化学が苦手、学んだ覚えもないくらいです。大変困りました。。そこで化学の先生になった高校の友人にSOSを出しました。何度も何度もメールをして色々教えてもらいました。学生の頃は全く頭に入らなかった化学が、なんとなくじんわりと浸透しました。友人とは本当にありがたいものです。

色々調査をしていく過程で、シックハウス症候群というのは、非常に個人差があり、同じ環境にいても発症する人としない人がいること、そして発症した方は大変な苦痛を味わうということを知りました。それなのに明確な因果関係が分かっていないというまだ発展途上の分野であるということも知りました。

そして私自身がシックハウス症候群に近い症状を体験することがありました。室内でだるまストーブを焚いているお宅に遊びに行ったとき、何だか知らないけど、涙が止まらない、鼻水が止まらない、どうにも止まらないという状況に。。そのお宅を辞したら症状はなくなりました。その時、机上で調べてきたシックハウス症候群はこんな感じなのかなと思いました。

つらい症状、そして症状の出ない人には理解されない状況、こうしたことが起こらないように、設計側でしっかり対策していかなくてはならない、と考えています。

一方で、問題視される化学物質はそもそもはカビの防止や耐久性のために役立つものとして添加されてきたものです。それが実はやっかいなものになってしまったという少し悲しい現実も知ったりして、より良い製品をと作ってきた方たちにも思いをはせたりしています。

まきうち