内装仕上げ材を選ぶときは、シックハウス対策のためできるだけ自然素材で原料の種類が少ないものを選ぶようにしています。そうなると、最近よく選ぶのが漆喰。漆喰でも生石灰クリームというものです。
これは石灰岩を焼いた生石灰を水で反応させてつくるクリーム状の壁材です。石灰岩と水が材料というごくシンプルなもの。化学物質は含まれません。その上、調湿性なども期待でき、空間としてはなんとなく柔らかな感じに仕上がります。生石灰クリームはDIYでも人気が高く、私の友人も何人か自ら壁塗りを楽しんでいます。
状況やご要望によっては、自然素材で原料の種類が少ないものを選ばないこともあります。どんな内装仕上げ材を選ぶ場合でもTAKAOスタジオでは、シックハウス対策として、メーカーからSDS(安全データシート)を取り寄せて原料を確認するようにしています。
何を確認するかというと、厚生労働省が室内濃度指針値を定めた13物質や我々が注意している物質が含まれているかどうかということ。含まれている場合は採用を見合わせます。
私たちがこの確認を始めた15年くらい前は、MSDSと言っていましたが、MSDSの提供を依頼してもメーカーさんが知らないことも多く、入手に手間取りました。最近ではかなり一般的になり、依頼すればすぐ送ってくれます。
送ってもらったSDSの組成・成分情報という項目を見ます。今回2社の壁紙メーカーに送付を依頼しましたが内容の密度に違いがありました。
A社さんは組成に種類名だけ記載されていてどんな化学物質が含まれているか確認できません。
B社さんは化学物質名およびCAS番号も明記されていました。
化学物質は別称も多く、素人にはなかなかわかりづらいものです。その場合CAS番号が書いてあれば、NITE(製品評価技術基盤機構)のHPで検索して確認することができます。
この壁紙にはフタル酸ビス(2-エチルへキシル)が含まれています。これは13物質の中の「フタル酸ジ-2-エチルへキシル」のことです。13物質が含まれていたのでこの壁紙は使えません。
物質名が明確でなかったA社さんには、再度問い合わせをし、13物質の含有の有無を伺いました。その結果書面で含んでいないという回答がありました。であればお客様への提案に含めることができます。
壁紙は建築基準法でシックハウス対応がされるまでは、ホルムアルデヒドが問題でした。今はホルムアルデヒドというより、確認すべきは可塑剤(かそざい)です。今回含まれていた「フタル酸ジ-2-エチルへキシル」は可塑剤です。
可塑剤とは合成樹脂を柔らかくするために添加するもので、揮発性は低いのですが喘息との関連性が注意喚起されています。
健康の問題はとても気になります。化学物質に反応して体に変調をきたすのは個人差があります。平気な人もいればダメな人もいる。だからとても注意して取り組まなくてはいけないと常々考えています。
まきうち